澄美の性癖はもはやただの潔癖症と呼べる 程度のものとは思えなかった。 このまま放っておけばエスカレートして、 ノイローゼにもなりかねない。 放ってはおけない、と俺は感じていた。  手遅れになる以前に、彼女に潔癖症を克服 させてやらなくてはならない。  だが、どうすればいいのか。  専門のカウンセラーでもないこの俺に、な にができるのだろうか。 「お客様、早く探してくれないと困ります」  澄美が急かす。  散らかった床が我慢できないのだろう。  早く勝負に決着をつけて掃除したいという のが、言葉の端々から見てとれる。 (迷ってる場合じゃない) 俺は雀卓から立ち上がり、澄美のもとへと 近付いていった。あえて手は洗わずに、だ。 「ちょっ、な、なんのつもりですかっ!?」  当然ながら、澄美は身構えた。  汚れた手のままで触られることを予感した のだろう。恐怖と怒りの混じった目で、必死 に俺をにらみつけてくる。  それを無視して、俺は手を伸ばした。  澄美にではなく、彼女が壁へと立てかけて いたモップに向かって。 「な、な、な、な……」  事態が飲み込めず、とまどう澄美。 「汚い俺の手で身体を触れられるのは、イヤ なんだろう?」  手にしたモップの柄を彼女に向けて、俺は 淡々と言った。 「君が自分で使っていたこいつで、調べさせ てもらうよ……文句はないだろう!?」  返答を待たずに、俺はモップの柄の先で、 彼女のブラの前合わせの部分を引っかけた。  間髪入れず、思いきり前に引っ張る。 「きゃああっ!」  前合わせのリボンはあっさりとちぎれて、 澄美のブラジャーはその役目を失った。  露わになった乳房は、結構なボリュームを 持っていた。毎日お風呂で磨いているのか、 絹のように白い肌が、とても艶めかしい。  そして、なにより俺の目に焼きついたのは、 その双丘の頂点にそれぞれあった、大きめの 乳輪の存在だった。  ほんのり紅梅色に染まったそれは、緊張で 強ばっているようだった。 「な、なんてことするんですっ!!」  慌てて両手で乳房を覆うと、澄美は俺の目 から逃れるべく、背を向けた。 「俺は俺のやり方で探してるだけだよ」  さっきの彼女の発言を逆手に取って、俺は 平然とそう言ってやった。 「ブラジャーの中ではないとすると……」  モップの先端が、澄美の背筋を滑る。 「ひゃあぁん……お客様、ダメえっ……」  冷たい木の棒に背筋をくすぐられながら、 澄美はあられもない声をあげる。 「あとは、この中ぐらいだよなぁ?」 「だっ、ダメえっ!」  パンティのラインに沿って動かされる棒の 刺激に澄美は身悶えし、胸を隠していた手で それを払いのけようとした。 「邪魔すると、手でじかに触っちゃうぞ」 突き付けられた俺の言葉に、伸ばした澄美 の手がびくっと震えた。 「大事なトコにばい菌が入ってもいいの?」  彼女が逆らえるはずもない。 「ううっ……はうっ、はあぁんっ!」  尻の谷間から股間の膨らみに至るまで。  俺は丹念に棒を動かし、撫で、つついた。 与えられる刺激に澄美の頬は上気し、身体 はうっすらと汗ばみ始めていた。  そして汗とはべつの液体が、彼女の内側か ら染み出してくる。 真っ白だったパンティにじっとりと滲んだ 恥ずかしいシミは、やがてモップの柄を伝う ほどの量になっていく。  ここまでは、俺の作戦どおりだった。